ヤフコメの「専門家の言葉」にも有益なものはあるが…
「エキスパート認証済み」は“経歴の証明”であり、“発言内容の保証”ではない
Yahoo!ニュースのコメント欄、通称「ヤフコメ」は、ネット上でもっとも多くの日本人ユーザーが参加する議論スペースのひとつであり、そこには日々多様な意見が飛び交っている。その中には、医師や弁護士、大学教授など、専門的な知見を有するとされる人物がコメントすることもあり、特に「エキスパート認証済み」とタグがついている投稿者は一目置かれる存在となっている。
だが、こうした「専門家の言葉」をどう受け取るべきかについては、注意が必要だ。
「エキスパート認証済み」はあくまで経歴の確認
Yahoo! JAPANが提供する「エキスパート認証済み」タグは、その人物が実際に専門的な経歴を持つことを確認した上で与えられるものであり、たとえば医師免許を持つ人物や大学などの教育機関に所属する研究者、専門職の実務経験者などが対象となっている。
つまり、「その人が何者か」という意味では一定の信頼性がある。
だが注意すべきは、それが「何を言っているか」の信頼性とは別問題であるという点だ。
専門家の発言でも、偏見や誤情報が含まれることはある
どんなに優れた専門家であっても、人間である以上、意見には価値観や政治的傾向、個人的信条が反映されることがある。また、その専門家が得意とする分野外のテーマについては、一般人と変わらない理解度で発言していることも少なくない。
特にヤフコメでは「読まれる・共感される」ことを意識して、やや極端な表現や扇情的な意見を書く投稿者も見られる。実際に、「エキスパート認証済み」タグのあるアカウントが、過激な主張や政治的に極端な意見を投稿している例もある。
有益かどうかは「誰が言ったか」より「何を言っているか」で判断すべき
結局のところ、重要なのは「その人が専門家かどうか」よりも、「その内容が論理的かつ根拠があるかどうか」である。たとえ肩書きがあっても、思い込みや偏見に基づく発言では意味がない。逆に、一般人であっても、筋の通った冷静な意見であれば十分参考にする価値がある。
ヤフコメの「専門家の言葉」は、情報源のひとつとして活用できるが、ありがたく鵜呑みにするのではなく、批判的思考と情報リテラシーをもって読むことが必要だ。
「タグ」は信頼の入り口、「中身」は自分で見極める
「エキスパート認証済み」というラベルは、確かにその人物が専門的バックグラウンドを持つことを示す。しかし、それがその人のコメント内容まで保証するわけではない。むしろ肩書きに惑わされず、冷静に「中身で判断する」ことがこれからの情報社会では不可欠だ。
ヤフコメに限らず、あらゆる情報に対して「鵜呑みにしない」「出典を確認する」「立場や意図を読む」という姿勢が、ネットリテラシーとして求められている。
参考
https://support.yahoo-net.jp/SccNews/s/article/H000011258

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